全国には様々なブランド牛がいますが、「仙台牛」は、日本食肉格付協会が格付けする15段階の中でトップのＡ５・Ｂ５ランクと評価されたものに限定しています。つまり肉質や歩留まりがトップクラスと認められた唯一の牛肉なのです。
よく耳にする格付けの「Ａ５・Ｂ５」にはどんな意味があるのでしょう？
特に注目なのは５等級を表す数字の「５」。肉の霜降りと赤身とのバランスの良さやきめの細かさなどが最高ランクであることを示しています。仙台牛が「Ａ５・Ｂ５」にこだわるのは上質な肉を提供できる自信のあらわれでもあります。
現在の「仙台牛」の基礎を築いたのは昭和49(1674)年に、兵庫県から導入した「茂重波」号という種牛です。この牛は約40,000頭の子牛を生み、「仙台牛」の肉質の改善に大いに貢献しました。子孫にあたる「茂洋」号や「茂福久」号たちも優秀な成績を収めています。生産者はじめ多くの人たちはその血統を守り、次の時代につなげるため、飼育方法に改良を加えるなど日々努力を続けています。
「仙台牛」の魅力はなんといっても、脂肪と赤身の絶妙なバランスから生まれる柔らかでまろやかな風味。そのおいしさの秘訣は餌にあります。宮城育ちの「仙台牛」は「ササニシキ」や「ひとめぼれ」など地元産の稲わらをたっぷりと食べて育ちます。生産者は稲作と兼業も多く、稲わらを食べた牛の排泄物は田んぼに堆肥として戻され、また次の稲作りに生かされています。
宮城県で肉用牛を飼育する農家の１戸あたり平均頭数は29.7頭（令和４年２月１日現在）。全国平均の64.7頭に比べると半分以下の規模です。その分、１頭１頭の飼育に手間ひまをかけ、牛にストレスを与えないよう飼育することで、ぶれのない肉質を生み、高い評価につながっています。
大切に育ててきた牛を、消費者のみなさんに安心しておいしく食べていただくために、生体検査や部位ごとの検査、放射性物質のモニタリング検査などを実施しています。また、トレーサビリティー※による牛の個体識別番号も仙台牛銘柄推進協議会のホームページで公開しています。
※トレーサビリティーは、原材料の出所や製造元、販売先などの記録により、食品の情報を把握するためのしくみです。
