あのね仙台牛

Vol.1

みやぎ総合家畜市場の
競りに行ってきました!
(前編)

県内各地から
約400頭の子牛が集結

美里町にある「みやぎ総合家畜市場」で、3月14〜16日に開催された「子牛の競り」の様子をレポートします!子牛の競りは毎月開催されていて、3出品されるのは生後10ヶ月前後の子牛たち。3日間でなんと約1,200頭が出品されました。まだあどけない表情が残る子牛たちですが、体重はすでに300キロ前後の巨体。競りを待つ子牛がズラリと並ぶ風景には圧倒されます。

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元気な子牛を育てるには
「腹づくり」が肝心

子牛たちは、和牛の繁殖を専門としている農家で生まれます。人間の赤ちゃんと同じように最初は母牛の母乳で育ちますが、少し大きくなると離乳食がわりのワラを食べ始めます。将来、健康な「仙台牛」になるためにはこの離乳食の「食べっぷり」がポイント!
ワラをしっかり食べさせることで、子牛の未熟な胃を丈夫な大人の胃に成長させることができます。繁殖農家はこれを「腹づくり」と呼んでいて、子牛の成長や体調にあったワラの量や刻み方、タイミングなど細かなところに気を配り、我が子のように手間ひまかけて育てていきます。人間も「腸活」が話題ですが、牛もお腹のケアが大事なのですね。

競りのポイントは
体型と血統

この日、競りに参加したのは肥育農家や繁殖農家あわせて約200人。1頭ずつ会場に入ってくる子牛をじっと見つめ、姿や形、歩き方などを鋭くチェックします。体重が重く、体型バランスの良い子牛は病気や怪我せず順調に成長できた証拠。「免疫力が強い牛」ということですから、将来も立派な肉牛に育つ可能性が高いというわけです。
そして、子牛と同じくらい真剣に見つめているのが「子牛市場名簿」。ここには子牛の体重や生産者名、母牛や父牛、祖父牛などの情報がぎっしり書かれています。母牛や父牛がどんな肉質の牛を産んできたのか、兄弟牛たちの実績もわかるので、買い手は経験と知識をフル回転して、「これだ!」と思う子牛を選んで、入札します。1回の競りで20頭から100頭の子牛を落札していきます。
*肥育農家は、競りで落札した子牛を肉牛として出荷するまで育てる農家です。

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どこからでも牛が見えるよう、半円状の競り会場。
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会場には子牛の血統などのプロフィールと、金額が表示されている。1頭に数百万の値が付くこともあるという。
「つくる責任」を
バトンにして

肥育農家に競り落とされた子牛たちは、約20ヶ月間、おいしい肉牛になるよう大切に育てられます。繁殖農家に競り落とされた雌の子牛は、次の世代を産むお母さん牛になっていきます。
繁殖農家・肥育農家とも大事にしているのは、牛たちをのびのび健康に育てること、そして、消費者のみなさんに喜んでいただける「仙台牛」に育てること。競りはそうした思いを次の生産者へ託す場でもあり、互いの成果を認め合い切磋琢磨する場でもあって、「仙台牛」というブランドを守るために重要な役割を果たしているのです。

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これからはそれぞれの肥育農家で「仙台牛」へと育っていく。