仙台牛

黒毛和種(雌)名誉賞 千葉正憲さん【JAみやぎ登米(とよま)】

仙台市中央卸売市場で行われた食肉市場業務開始34周年記念枝肉共進会で名誉賞(チャンピオン)を受賞された生産者を紹介します。

千葉正憲さん
仙台牛肥育のスペシャリスト。

牛に恵まれ・人に愛され

どこまで登るんだろう・・・。そんな不安を抱きはじめたころ、突然目の前が開けた。眼下には北上川と登米の田園風景。水田が陽に輝いている。雲に手が届きそうだ。本当の贅沢とはこういうことなのだろう。そんな場所に千葉さんの営む「笑沢(えみさわ)牧場」はある。
千葉さんの牧場はとにかくデカイ。1.2haの敷地に400頭の牛。世話をする人間は4人。エサは朝・夕機械で自動分配される。長い通路に顔を出しエサを食んでいる牛にカメラを向けると、十数頭が一斉にこちらを振り向いた。
千葉さんはこれまで、各共進会で何度もチャンピオン牛を育てあげてきた。「数を持ちたい」と牛舎を拡張させたのが平成14年。「100頭飼うのも500頭飼うのも一緒」だからと、山の上に思い切って土地を買った。周りからは無謀だと言われたが、家族からは反対されなかった。水も電気も通っていない山の奥。水道を通してくれるように地元の企業団に頼み込んだが無理だとつっぱねられた。先が見えないままの2年間。しかし、そのうち町がバックアップしてくれるようになる。構想から8年、やっと形になろうというその時、国内でBSEが発生した。「(びっくりしたけど)やるしかないからね」とその頃を笑って振り返る。それまで100頭だった牛を500頭まで増やした。男が夢を貫いた瞬間だった。

1.2haの敷地に400頭の牛が飼育されている。

千葉さんは今年、雌の部で名誉賞を受賞した。昨年11月には、第48回仙台牛枝肉共進会の去勢の部でもチャンピオン賞(名誉賞と同等)を獲得している。一般的に雄と雌は飼育方法が異なるとされ、別々に飼育される。しかし、千葉さんの牛舎では、雄と雌を同じゲージの中に置いている。なぜか。「牛も正直だから一緒にいるとリラックスするらしいんだ。雌ばっかり、雄ばっかりだと喧嘩するけど、一緒に入れておくとそういうこともないし。モテる牛もいるよ。雄一頭の周りに雌が何頭も集まっていることもあるし。」つい先日、千葉さんは明け方涼しい空気の中で、仰向けに足を上げて気持よさそうに寝ている牛を見かけたそうだ。35年牛と向き合ってきた千葉さんも初めてみる光景だった。
次の目標は10月に東京で行われる全共(全国肉用牛枝肉共進会)。「何度とってもいい」とチャンピオン牛の座を、今年も登米の山から狙いにいく。

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